特別訪問看護指示書とは 有効期間14日・月2回交付できる例外条件をわかりやすく整理

特別訪問看護指示書は、利用者の状態が急に悪化したときなどに、主治医が「一時的に頻回の訪問看護が必要」と判断した場合に交付される指示書です。この指示書にもとづく訪問看護は、交付日から起算して14日以内・14日を限度として算定でき、交付は月1回が原則、気管カニューレを使用している状態の人と真皮を越える褥瘡の状態の人に限り月2回まで交付できます。 期間・回数・記録の要件を取り違えると返戻や査定につながる領域です。この記事では、医療保険の訪問看護療養費のルールにもとづいて、基本を整理します。
この記事でわかること
- 特別訪問看護指示書にもとづく訪問看護は、交付日から起算して14日以内・14日を限度として算定できます
- 交付は月1回が原則で、気管カニューレ使用中/真皮を越える褥瘡の2つの状態に限り月2回まで交付できます
- 特別指示期間中は、通常の週3日の上限とは別枠で訪問看護を提供できます
- 交付された利用者については、頻回の訪問看護が必要な理由を訪問看護記録書に記載し、主治医と連携を密にすることが求められます
- 主治医への依頼は「交付してほしい」ではなく、状態の事実と必要な訪問頻度の見込みを渡すのがうまくいくやり方です
特別訪問看護指示書とは何か
訪問看護は通常、主治医が交付する訪問看護指示書(有効期間は最長6か月)にもとづいて行います。医療保険の訪問看護では、訪問看護基本療養費の算定は原則として週3日が上限です(厚生労働大臣が定める疾病等の利用者は週4日以上算定できます)。
しかし、状態の急な変化や退院直後などには、この上限では足りない場面があります。そこで、主治医が診療にもとづき一時的に頻回の訪問看護が必要と判断した場合に交付されるのが特別訪問看護指示書です。通常の訪問看護指示書が交付されている利用者に、追加で交付されます。
どのような状態で交付するかは主治医の医学的判断であり、ステーション側が「この状態なら必ず交付される」と断定できるものではありません。交付の可否や個別の算定の取扱いで判断に迷う場合は、管轄の地方厚生(支)局にご確認ください。
期間と回数のルール
| 項目 | ルール |
|---|---|
| 算定できる期間 | 交付日から起算して14日以内に行った訪問看護を、14日を限度として算定 |
| 交付回数 | 月1回が原則 |
| 月2回交付できる例外 | 気管カニューレを使用している状態にある者、真皮を越える褥瘡の状態にある者 |
| 週3日上限との関係 | 特別指示期間中の訪問は週3日の上限とは別枠。交付日の属する週と14日目の属する週は、特別指示期間中に算定した日を除き週3日が上限 |
実務でつまずきやすいのは次の3点です。
1. 「14日」は交付日から数える
指示期間の開始日ではなく「交付の日から起算して14日以内」です。交付日と指示期間の開始日がずれると算定できない日が生じ得るため、主治医に依頼する際に日付のずれがないか確認してください。
2. 月2回の例外は2つの状態だけ
「状態が重いから」という理由では月2回になりません。対象は気管カニューレ使用中と真皮を越える褥瘡の2つに限定されています。なお「真皮を越える」の該当性(創の深さの評価)は記録で説明できるようにしておく必要があります。
3. 前後の週の日数管理
交付日の属する週と14日目の属する週は、特別指示期間中に算定した日を除いて週3日が上限です。特別指示の前後に通常の訪問を組んでいる場合、この計算を誤ると過剰算定になります。レセプト担当と訪問予定を組む担当の間で、期間の開始日・終了日を共有してください。
記録の要件:理由を書き残す
特別訪問看護指示書が交付された利用者への訪問看護では、利用者の病状等を十分把握したうえで、一時的に頻回の指定訪問看護が必要な理由を訪問看護記録書に記載し、訪問看護計画書の作成や実施において主治医と連携を密にすることが求められています。
「特別指示が出ているから毎日訪問する」だけでは記録として不十分です。なぜ頻回の訪問が必要なのか(症状・処置内容・家族の介護状況の変化など)を、記録書に自分の言葉で残してください。指導・監査で見られるのはこの部分です。
主治医への依頼の仕方
交付を判断するのは主治医ですが、在宅の状態変化を最初に把握するのは訪問看護師であることが多く、実務では看護側からの相談が起点になります。依頼のコツは3つです。
- 状態の事実で伝える。「特別指示をください」ではなく、バイタル・症状・処置の変化を時系列で報告し、「この状態のため、当面◯日程度、頻回の訪問が必要と考えます」と判断材料を渡します
- 期間の見込みを添える。14日で自動的に終わるため、その後の見通し(通常指示に戻るのか、再評価が必要か)まで話しておくと、終了間際に慌てません
- 日付を合わせる。交付日・指示期間・訪問開始日のずれがないか、その場で確認します
医療機関との日常的な情報共有ができているほど、急な相談は通りやすくなります。報告書・計画書の提出を確実に行い、普段から状態変化を共有しておくことが、結局いちばんの準備です。
保険の切り替わりに注意
介護保険で訪問看護を利用している人でも、特別訪問看護指示書が交付された期間の訪問看護は医療保険からの給付に変わります。医療保険と介護保険のどちらから給付されるかの整理(別表第7の疾病等・特別指示・精神科訪問看護)は、医療保険と介護保険の使い分けで判断フローつきで解説しています。給付調整の詳細な取扱いは、厚生労働省の給付調整通知と管轄の地方厚生(支)局の案内でご確認ください。
まず確認したいこと
- 特別指示の期間(交付日から14日)をレセプト担当と訪問予定担当の両方が把握しているか
- 月2回交付の例外(気管カニューレ・真皮を越える褥瘡)を該当ケースの記録で説明できるか
- 頻回の訪問が必要な理由を訪問看護記録書に記載する運用になっているか
- 交付日の週・14日目の週の週3日上限の計算方法をレセプト担当が理解しているか
- 期間終了後の訪問体制を、終了前に主治医とすり合わせる段取りがあるか
出典
| 資料 | 発信元 | 文書・掲載日 | 確認日 |
|---|---|---|---|
| よくある質問(訪問看護療養費の算定について)令和8年6月1日〜適用分 | 近畿厚生局 | — | 2026-08-14 |
※本記事は、訪問看護療養費の算定告示・算定通知(令和8年3月5日保発0305第19号)等にもとづき近畿厚生局が作成した上記Q&A(令和8年6月1日適用分)の内容をもとにしています。個別の算定可否・交付の判断・給付調整の取扱いは、管轄の地方厚生(支)局にご確認ください。
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執筆
クラシテク編集部
訪問看護の制度・加算・現場実務について、厚生労働省および地方厚生(支)局の一次資料にもとづいて解説しています。記事内の数値・要件は掲載時点のものです。個別の適用判断は管轄の地方厚生(支)局にご確認ください。
